東大工学部院生が解説する、東京大学工学部の大学生活の特徴

みなさん初めまして。
東京大学大学院情報理工学系研究科修士2年の飯沼と申します。

先月の「京大医学部生が解説する、京都大学医学部の大学生活の特徴」に続き、今回も友情出演という形で、東京大学での学生生活についてお話していきたいと思います。MedAseの松本とは15年来の友人で、大学に入ってからも一緒に旅行に行ったりする仲です。今回は東京大学と大学院での生活と研究について書かせていただこうと思います。



自己紹介

まずは自己紹介からさせていただきます。
私の出身は名古屋の東海中学・高校です。医学部を志望する学生の多い高校ですが、私は東京大学理科1類に現役で合格し、その後、東京大学大学院に進学して、今年修士2年になりました。
これまで、飲食や教育関係のアルバイトをしてきましたが、最近ではベンチャー企業でエンジニアのインターンをしています。

前期教養課程

ご存知の方も多いと思いますが、東京大学の入試は学部学科単位ではなく理科3類や文科1類のように,科類と呼ばれる単位で受験することになります。入試システムに関しては本題から外れるので、ここではあまり詳しく触れません。

めでたく東大に入学すると、すべての学生は駒場にある教養学部の所属となり、2年間の前期教養課程を過ごすことになります。前期教養課程は第2外国語や基礎実験以外に、スポーツ・身体運動と呼ばれる体育のような授業があります。入学した科類によって必修科目は異なりますが、基本的に自分の興味のある授業を好きなようにとることができます。逆に専門科目がほとんどないため、高校の延長みたいとよく言われます。

一般的に、大学では単位さえ取れれば(海外留学しない限り)あまり成績を気にしなくてもよいのですが、前期教養課程ではこの後に述べる進学選択で成績が重要になってきます。割と出席を取らない授業も多いですが、頑張って授業に出なければなりません。また、東大は科目の分類が細かいため、履修する授業をよく考えないと知らない間に単位が不足してるなんてこともあるので、友達と互いによく確認して履修する授業を決める必要があります。

進学選択

2年生の6月ごろに3年生になってから所属する学部学科を決定する進学選択(通称 進振り)が行われます。進学選択は各学生の1年生と2年生途中までの成績と希望進学先アンケートをもとにして、進学先の学部学科を決定します。

進学選択は形の上では、自由に進学先を選択できるということになっています。しかしながら、実はここで入学時の科類が結構効いてきます。

  • 理科1類 ⇒ 工学部・理学部
  • 理科2類 ⇒ 農学部・薬学部
  • 理科3類 ⇒ 医学部
  • 文科1類 ⇒ 法学部
  • 文科2類 ⇒ 経済学部
  • 文科3類 ⇒ 文学部・教育学部・(後期)教養学部

といったように、科類によってそれぞれの学部に進学しやすいようにカリキュラムが組まれています。もちろん、文科3類から医学部に行くこともできますし、理科1類から法学部に行くこともできます。ただし、進学の要件を満たすために結構苦労するので、入学するまでにどの学部に行きたいのかくらいまでは決めておいた方がいいかも知れません。
また、すべての学生が希望通りの学部に進学できるわけではありません。基本的に成績順に進学先が決まっていくため、成績が振るわないと、志望度の低い学部に進学せざるを得なくなるということもあり得ます。(降年という自主的に留年する制度を使ってもう一度進学選択をすることもできますが・・・)
やりたいことが決まっている人は、良い成績を残せるように勉強もしっかり頑張りましょう!

2年生の夏

進学選択が終わると、前期教養課程はひと段落です。前期教養課程の必修科目は進学選択までに終わるようにカリキュラムが組まれているので、2年生の6月までに前期教養課程の単位を取り切ってしまえば、長~い夏休みがやってきます。通常の夏休みに加えて、6月と7月にほぼ学校に行かなくてもよくなるので、最大4か月の夏休みが取れます。この期間にバイト入れまくったり、海外旅行に行ったりしている人が多かったです。東京大学に入学して一番暇な時期だと思います笑

後期課程

2年生の冬学期から学部学科それぞれの専門科目の授業が始まります。2年生の間は教養学部の肩書のまま、進学選択で決まった進学先の専門科目を駒場で受けることになります。(学科によっては一部本郷での授業もあります。)3年生になると所属も学部ごとに分かれ、ほとんどの学生が本郷に移ります。一人暮らしの学生はこのタイミングで引っ越すことが多いです。
後期課程は学科によってみっちりカリキュラムが組まれているので、前期教養課程に比べるとかなり忙しくなります。特に私の進学した工学部電子情報工学科は週3で実験が入りますし、ほぼ毎日1限から4限まで授業が入っています。
最近では、就活時期が前倒しになり、3年生の夏・冬休みにインターンに行く大学生が多いのですが、理系学科は多くの人が大学院に進学するため、3年生の長期休暇はサークル活動やアルバイトなどをして過ごす人が多かったです。

研究室配属

学科によって多少の前後はありますが、4年生の春ごろに所属する研究室が決まります。研究室配属の決め方も学科によってまちまちで、成績順のところもあれば学生間の話し合いやじゃんけんで決めるところもあります。研究室に配属されて晴れて研究ライフをスタート・・・とはいきません。8月に大学院の入試があるため,6~8月は入試の勉強をすることになります。
そのため、卒業論文の研究期間は4年生の9月から2月の約半年と意外に短いです。それでも、さすがは東大、研究機材は潤沢にありますので、大学4年生で国際学会に論文を提出することも可能です。
研究テーマは多くの場合、研究室が用意してくれます。最初のうちは何をどう研究すればいいの?と思うことも多いですが、あまり心配しなくても、教授をはじめ博士や修士の人もしっかりサポートしてくれます。

大学院進学

大学院というとあまり馴染みがないかもしれません。しかし、理系学部の人は多くの人が大学を卒業後、大学院に進学します。たいていの場合、大学4年生の時と同じ研究室に残るのですが、たまにほかの研究室に移動することもあります。私の場合、大学院進学に伴って、国立情報学研究所という東大外の研究室に配属されました。(ややこしいですが、学生としての所属は東京大学大学院です)
大学と大学院の大きな違いは大学院は研究がメインになるところです。大学院でも授業を受ける必要がありますが、成績評価はほとんどレポートのみです。そのため、大学に比べて研究に集中できる環境が用意されています。
将来、研究者になりたい、学問を究めたいという人は大学院進学もぜひ考えてみてください。
ちなみに、どうでもいいお話ですが、大学院に入ると所属の肩書がめちゃくちゃ長くなります。私の所属は「東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学専攻国立情報学研究所佐藤真一研究室」と、40文字近くあります笑

私の研究

最後に、私の研究テーマについて簡単にご紹介したいと思います。
大学4年生の時には、映像処理に関する研究をしていました。360度カメラで撮影した映像を加工・合成して観光地での道案内やVRで利用できるようにする研究です。これは自慢ですが、この研究で特許を取得したり、国際学会にも論文を通したりしました笑
大学院に進学してからは、AIを使った動画検索に関する研究をしています。動画に映っている人物や、その人が何をしているのかAIで認識し、似たような動画を動画のデータベースから検索してくるという研究です。
AIは最近何かと話題で、研究の競争相手も多いですが、非常にやりがいのある研究です。工学部を進学先に検討している方は、是非学科や研究室の選択の時に参考にしてください。

最後に

随分と長くなりましたが、東京大学について紹介させていただきました。
前期教養課程や進学選択など、東京大学は他の大学とはちょっと変わったシステムが多くあります。東京大学への進学を検討されている方の参考にしていただけると幸いです。
それでは、また機会があればお会いしましょう!ありがとうございました。


(松本追記:
飯沼は小学校からの同級生です。成績優秀かつ面白い奴でしたが、こんな研究をしているとは知りませんでした。楽しそうですね!)